音羽山 清水寺

美味しいお料理の⼀品が⽬の前に出て参りました。

実は盛られた器が貴重な⾻董品でした。

しかしたとえその器が⽬に映ったとしても、

思いがはたらかなければ器を認識することはもとより、

素晴らしいという実感を覚えることはないでしょう。

「⾃然は気づくものには雄弁だが、

気づかないものには姿すら⾒せない」

以前教えて頂いた⾔葉です。

これは何も⾃然だけに限ったことではないように思います。

⽬まぐるしい⽇常の中で、⼀時でも五感を広げて、⼼を動かして、

本当に⼤切なものを失う前に気づき、

⽀えてくれている無数の恵みの尊さに感謝する、

これを仏教では命に⽴ちかえる、

「帰命（きみょう）」と⾔います。

境内にて⾃然の営みの中、⻑年培われた命を通して、

皆様それぞれのお⼼を広げる善縁となり、

⽇々を照らす光に少しでも叶えばと願っております。